03  Column

コラム

ホルター心電図合併頻度が高い!
心房細動と睡眠時無呼吸症候群

日本医科大学大学院医学研究科
循環器内科学分野
教授 清水 渉 先生

増加する心房細動と睡眠時無呼吸症候群

心房細動は、加齢とともに有病率が増加することが知られており、高齢化社会を迎えたわが国では今後も増加することが推計されています。
また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は心房細動の発生リスクとなる因子の1つであり、心房細動の患者さんで、睡眠時無呼吸症候群が疑われて睡眠時無呼吸検査を行った場合の睡眠時無呼吸症候群の陽性率は81.4%(AHI ≧5)と報告されています。

心房細動に対する治療としてカテーテルアブレーションが挙げられます。循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドラインでは、心房細動と睡眠時無呼吸症候群を合併している場合、肺静脈隔離術が成功したとしても、睡眠時無呼吸症候群に対する適切な治療がなければ有意に再発率が高くなることが示されています。

CPAP治療で心房細動の再発が抑制

カテーテルアブレーション後のCPAP治療導入例では、未導入症例に比して心房細動再発率が約50~60%抑制されることが報告されています。
心房細動における睡眠時無呼吸症候群の評価と治療に関する推奨クラスとエビデンスレベルは、心房細動の再発予防、心房細動の治療(カテーテルアブレーションを含む)効果の改善を目的として睡眠時無呼吸症候群の治療を考慮する:推奨クラスⅡa、エビデンスレベルBと分類されています。

スクリーニング検査にはホルター心電図検査が有用!

このため、カテーテルアブレーション後のフォローアップで睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングが重要となります。
最近のホルター心電計では、睡眠時の心拍変動から睡眠時無呼吸症候群をスクリーニングできるものが出てきており、カテーテルアブレーション後の心房細動再発確認と同時に睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングが有効です。
このようなものを活用し、CPAP治療導入、心房細動再発防止していくことをお勧めします。

推奨クラスⅡa:エビデンス・見解から、有効・有用である可能性が高いエビデンスレベルB:単一のランダム化比較試験またはランダムではない大規模な臨床試験で実証されたもの

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